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札幌高等裁判所 昭和37年(ウ)22号 決定

申立人 ヴヰクトル・ア・ボロセヴヰツチ

相手方 石塚吉二郎

主文

本件申立を却下する。

申立費用は申立人の負担とする。

事実及び理由

本件申立の趣旨並びに理由は別紙記載のとおりである。

按ずるに、民事訴訟法第二四条第一号は、管轄裁判所が法律上又は事実上裁判権を行うことができない場合に適用すべきものであるところ、旧裁判所構成法及び裁判所構成法施行条例に基き旧樺太本土内に設立せられた裁判所は、昭和二二年四月一六日法律第五九号附則第一、二項により、日本国憲法施行の日である昭和二二年五月三日限りで悉く廃止せられ、現在、同本土内には、わが裁判権を行使すべき裁判所が実在しないものである。従つて、昭和一七年四月当時、旧樺太大泊町において不法行為がなされた旨を主張する本訴の管轄裁判所は、現在、旧樺太本土内に実在しないのであるから、民事訴訟法第二四条をこの場合に適用すべきものではないと解すべきである。それゆえ、その適用あることを前提とする本件申立は理由がなく、却下を免れない。

よつて、民事訴訟法第八九条に従い、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 臼居直道 裁判官 安久津武人 輪湖公寬)

〈以下省略〉

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